自己肯定感を高めることによって、人間関係のストレスはラクになると僕は考えています。
たとえば、見下す言い方をされたとしましょう。
心の底から「自分には価値がある」と思えることで、見下されても受け流すことができます。
仕事でミスをしてしまっても、人格の価値と失敗を結び付けないからメンタルの回復も早いです。
メリットがたくさんありますが、自己肯定感にはネガティブな意見も少なくありません。
あなたはネットなどの情報で
- 自己肯定感は高めなくていい
- 自己肯定感が高すぎるのも問題
このような意見を見たことがありますか?
自己肯定感に対する否定的な意見も多いので、本当に必要なのかがわからなくなりますよね。
結論を言うと自己肯定感は必要で、「自己肯定感が高すぎる」という表現は正しくないです。
「自己肯定感が高すぎる」という表現には、他の言葉の意味が解釈に含まれています。
「自己肯定感」という言葉は自己満足やプライドといった言葉と混同しやすいので、しっかり区別しましょう。
この記事では自己肯定感と区別すべき言葉を8つ解説します。
自己肯定感に対する理解を深めて、ネットの情報に振り回されないようになりましょう。
自己肯定感と区別すべき8つのこと
自己肯定感は英語で「self-esteem」といいます。
自尊心や自尊感情も英語で「self-esteem」で、英語だと実は同じ言葉です。
「esteem」は尊重するという意味で、「self-esteem」を直訳すると「自己を尊重する気持ち」になります。
この「self-esteem」という言葉が自尊心、自尊感情、自己肯定感などの日本語にあてられました。
結果として「自己肯定感」という言葉が自尊心や自尊感情よりも広まって、自己肯定感という言葉が多くの人に認知されるようになったのです。
ただ「self-esteem」の日本語訳である自己肯定感は誤解も多いので、他の混同されやすい言葉と区別する必要があります。
- 自己肯定感とポジティブ思考
- 自己肯定感と自己満足
- 自己肯定感と自信過剰
- 自己肯定感とナルシスト
- 自己肯定感と承認欲求
- 自己肯定感と正当化
- 自己肯定感とプライド
- 自己肯定感と自己中心的
①自己肯定感とポジティブ思考
何でもポジティブに考えることが自己肯定感ではありません。
ポジティブなこともネガティブなこともひっくるめて自分を受け入れることが自己肯定感です。
ただポジティブに考えることがポジティブ思考です。
ちなみにポジティブ思考もダメという意見もありますが、ポジティブ思考が必要な場面もあります。
「ポジティブ思考は必要だけど、無理してポジティブに考えすぎないことが大切」と考えてください。
話を自己肯定感に戻しましょう。
自己肯定感が高い人はネガティブな考えを否定しません。
自己肯定感が高い人でもネガティブな考えを持つことは当然あります。
自己肯定感が高い人は「ネガティブなことを考えてもいいし、ネガティブな気持ちになることもある」と考えることができます。
ポジティブに考えられることが望ましいですが、ネガティブを禁止する必要はありません。
ネガティブな気持ちになったら、それをダメだと考えなくていいのです。
「自分も人間だから仕方ない」と考えましょう。
②自己肯定感と自己満足
「自己肯定感が高い人は能力が低い」という意見がありますが、これも自己肯定感に対する誤解です。
自己肯定感が高い人は「できないことがあっても自分はありのままでいい」と考えられます。
「ありのままの自分でいい」という考え方と自己満足を混同すると、「自己肯定感が高い人ほど成長できない」という考え方になります。
また「自己肯定感が高い人は自分を完璧だと思っている」という誤解もあります。
自己肯定感は存在の肯定であって、能力が高いか低いかは関係ありません。
本当に自己肯定感が高い人は「完璧ではない自分もOKだ」と考えられます。
実際に完璧な人間はいませんからね。
これは自己満足の話ではありませんが、完璧主義の人は「完璧でなければいけない」と考えます。
自己肯定感も自己満足もできていることを自分で評価することにおいては同じです。
できていることを評価しながらもできないことを受け入れることが自己肯定感です。
自己満足の人は「これ以上はもういい」とか「もう学ぶものはない」と考えてしまいます。自己肯定感と自己満足の違いは向上心があるかないかです。
能力が低いことを認めて「それでも自分はOKだ」と思えることが自己肯定感です。
もちろん、能力が低い今の自分を肯定することは「成長しなくていい」という考えではありません。
今の自分を肯定しながらも向上心や成長欲求を持つようにしてください。
「今の自分もOKで、今より成長できたらもっとOK」と考えましょう。
向上しない言い訳のツールとして自己肯定感を捉えないでくださいね。
誤解しないためには人格と行動の2つを分ける必要があります。
「Be」と「Do」という言葉で説明されることもあります。
自己肯定感は「Be」の肯定で、ありのままの人格の肯定する気持ちです。
能力の評価は「Do」の肯定なので、この2つを区別しましょう。
自己満足の感覚と自己肯定感が満たされる感覚は似ているので区別したいところですね。
区別する方法は簡単で、「向上心や成長欲求がなくなっていないだろうか?」と自分に問うことです。
自己肯定感は人格の肯定で能力の高さと存在価値を結び付けないので、「自己肯定感が高すぎるから能力が低い」は間違い
- 自己肯定感も能力も高い人はいる
- 自己肯定感が低くて能力が高い人もいる
- 自己肯定感が高くて能力が低い人もいる
- 自己肯定感も能力も低い人もいる
③自己肯定感と自信過剰
自己肯定感と自信過剰の区別は自己満足との区別に似ています。
自分を肯定することは「できないのにできると思い込むことではないか?」という誤解があるからです。
ですが、「自己肯定感が低いから自信過剰になる」というのが正しい解釈です。
自己肯定感はできないことがあっても自分の存在を受け入れることができる気持ちです。
自信過剰はできないことをできると思い込みます。
- できないことがあっても「自分OK」と考えられるか?
- できないことがあるのはダメと考えて「できるはずだ」と思い込むか?
この違いが自己肯定感と自信過剰です。
「できていない部分があることを受け入れながらも、向上心を持つことが自己肯定感」と考えてください。
そして、自信過剰の人には矛盾した3つの認識があります。
- 【認識①】○○ができない人は価値が低い
- 【認識②】私はその◯◯ができない
- 【認識③】私は◯◯ができる
※○○に入る言葉は仕事の能力、収入の高さ、頭の良さなど
この3つの認識のうち②と③が矛盾していますよね。
そして、認識②が不快な感情の原因になるから、認識②の「私は◯◯ができない」を変えたくなります。
不快な感情を解消するために認識②をなかったことにして新たに認識③の「私は◯◯ができる」をつくります。
つまり、「私は◯◯ができない」という認識をなかったことにして、「私は◯◯ができる」という認識で上書きすることが自信過剰の状態です。
自己肯定感が高い人はできないことがあっても自分を受け入れることができます。
だから「自己肯定感が低いから自信過剰になる」というのが正しい解釈です。
できないことがあることに対して「それでも自分はOKだ」と思えない自信のなさだと言ってもいいでしょう。
「自信がないから自信過剰になる」という表現もできます。
自己肯定感と自己満足の違いのところでもお伝えしましたが、人格の価値と能力の評価を分けて考えてください。
「Be」と「Do」を分けて考えるということです。
できないことをできると思い込むのは「私は◯◯ができる」と「私は◯◯ができない」という2つの矛盾を抱えている状態です。
自信過剰にならないためには「◯◯ができない人は価値が低い」という認識を変えましょう。
この認識を「◯◯ができたほうが望ましいが、できなくても価値がある」という認識に変えることが必要です。
能力は高いほうが望ましいですし能力も存在価値の一部ではあります。
ですが、人格の価値は能力の高さだけで決まるものではありません。
あなたはどちらの人と一緒に働きたいですか?
- 仕事の能力がすごく高くて性格がすごく悪い人
- 仕事の能力は高くもなく低くもなく優しい人
「性格なんて関係なくて、とにかく成果が大事だ」という意見もあると思いますが、多くの人は性格も大事だと考えますよね。
もちろん、ミスばかりするのがOKだと言いたいわけではありませんが、能力の高さは存在価値の一部だということを覚えておいてください。
④自己肯定感とナルシスト
「自分を好きになる」という言葉を聞くと、ナルシストと混同してしまう可能性もありますよね。
自分を受け入れている感覚が自己肯定感です。
自己肯定感が高い人はたとえ他人に認めてもらえなくても、自分を受け入れているからアピールしません。
他者に認めてほしいからアピールするのがナルシストです。
「自分は自分でいい」と考えるか?それとも「自分を見てほしい」と考えるのか?
この違いが自己肯定感とナルシストの違いです。
ありのままの自分を認め自然体でいることが自己肯定感で、人からチヤホヤされるために自分にないキャラを演じるのがナルシストだと言ってもいいでしょう。
自己完結の自信か他者にアピールしたいかとも言えます。
「ナルシストになるのはイヤだな」と思うなら、このように考えてください。
- 「何をすればカッコイイと思われるか?」と考えない
- もっと自然体に「自分のことが好きだな」と思える感覚を持つ
では、どうすれば自然体に自分のことが好きになれるでしょうか?
あなたが「これをやっていると楽しいな」と感じるものは何でしょうか?
それをやる動機を考えてみましょう。
自己肯定感が高い人は「カッコイイと思われるために◯◯をする」ではなく、「やりたいから◯◯をする」と考えます。
つまり誰かにアピールするという目的で何かに取り組まないということです。
それをやる理由が「純粋にそれが好きだから」であれば大丈夫です。
⑤自己肯定感と承認欲求
ほめられる喜びである承認欲求と自己肯定感も混同する可能性があります。
本当のところは自己肯定感が満たされるほどに承認欲求は手放せます。
自己肯定感が低いから承認欲求が必要になります。
自己肯定感と承認欲求は反比例の関係にあるものだと考えてください。
人から評価される喜びが承認欲求で、自分のことを肯定的に評価することが自己肯定感です。
自己肯定感と承認欲求の見極めは
- その肯定的な評価は人にしてもらったものか?それとも自分で自分を評価したことか?
- その喜びは自己チャージによるものか?それとも人から与えられた喜びか?
この違いです。
人から認めてもらわなくても自分のことを認められるようになることが望ましい状態です。
もちろん、自分のことを肯定的に見ることは、向上心を持たないことではありません。
承認欲求のすべてがダメということはないので、ほめられたら素直に喜べることも必要です。
ですから、「評価されなくてもOKで、評価されたらもっとOK」と考えるようにしてください。
承認欲求で満たされている部分があるのがダメではないですが、心のエネルギーの8割以上は自己充電で満たすことが必要です。
自己充電の割合が極端に低いと、ほめられないと頑張れない人になってしまいます。
承認欲求が強い人は人から満たしてもらうことに慣れすぎてしまっているので注意が必要です。
できるだけ自己肯定感を満たして承認欲求をなるべく手放すことは重要です。
「わかってほしい」とか「認めてほしい」という気持ちをできるだけ手放すことによって、人間関係のストレス減ってラクになります。
相手が健全な人であれば少しだけなら期待して大丈夫ですが、自分のことを見下す人が高く評価してくれることはない絶対にないです。
「そもそも人を見下す人が悪いじゃないですか!」というのは正論かもしれません。
ですが、「あなたはもっと自分のことを高く評価すべきだ」という考え方が苦悩の原因だと考えてください。
「わかってほしい」とか「認めてほしい」と思わないことで、受け流せるようになりストレスが減ります。
そのためにも「自分には価値がある」と思えることが大切です。
⑥自己肯定感と正当化
「自己肯定感が高すぎる人は何でも自分が正しいと思い込む」という意見もありますが、これも誤解で正当化と混同しています。
本当に自己肯定感が満たされるのであれば、自分の非を認められるからです。
自己肯定感が高い人は「間違いを認めても自分の価値が下がることはない」と考えられます。
正当化する人は「間違えることは自分の価値を下げることだ」と考えて、自分の非を認められません。
「Be」と「Do」区別しましょう。
自己肯定感が高い人は「自分の行動や選択は間違っていたけど、自分の存在価値は下がらない」と考えます。
間違えることやミスを自分の存在価値と結び付けないことが大切です。
「間違ってもミスをしても自分はOKだ」と考えましょう。
もちろん「自分の存在がOK」という意味で、「何をやっても許される」という意味ではありません。
行動の間違いはあっても人格に間違いはないと考えることです。
ちなみに自己肯定感が高い人でも自分を守りたいと思うことはあります。
生まれて言い訳を一度もしたことがないという人はいないですよね。
自分を守る発言をするのは必ずしもカッコ悪いことではありません。
自分を守る発言のすべてが「自己肯定感が低いから」というわけではないです。
⑦自己肯定感とプライド
「プライド=自尊心」と認識している人は多いですが、この2つも違います。
自己肯定感や自尊心は自分を尊重できる気持ちです。
誇りと自尊心は似ている感覚ですが、日本語のプライドと英語の「pride」はニュアンスが違います。
ポジティブ心理学の勉強をすると、ポジティブ感情に関する解説が出てきます。
ポジティブ感情には代表的な10の感情があり、誇り(pride)はその1つです。
英語の「pride」は日本語の「誇り」に対応していて、ネガティブなニュアンスはありません。
ポジティブ感情に関する本の中に「pride」について解説しているものがありましたが、ネガティブな意味はありませんでした。
日本人はプライドという言葉をネガティブな意味で使うことが多いのではないでしょうか。
「プライドが高い人」と聞くとポジティブなイメージを持てないですよね。
日本語的な「プライド」は正当化、気難しい人、傲慢などに近いニュアンスで使うはずです。
ちなみに僕は英語がわからないなりに英語で検索して調べたのですが、「pride」と「self-esteem」は違うものとして解釈されているみたいです。
ポジティブ心理学の本に出てくる「pride」は日本語の誇りですが、「pride」と英語で検索したときに出てきた情報は日本語のプライドに近いニュアンスでした。
※もし違っていたらごめんなさい
英語の「pride」に関しては詳しく解説できませんが、大事なのは本来の自尊心の意味と日本語的なプライドを区別することです。
本来の自尊心は「self-esteem」で、自己肯定感も英語で「self-esteem」です。
日本語的なプライドはネガティブな意味のある言葉として使うことが多いですが、自己肯定感が高い人は不要なプライドを持つことはありません。
「必要なプライドと不必要なプライド」という使い分けよりも「自尊心とプライド」や「自己肯定感とプライド」のほうが個人的にはわかりやすいと思っています。
⑧自己肯定感と自己中心的
「自己肯定感が高すぎる人は謙虚さを忘れて横柄になってしまう」という意見もときどき見かけます。
自分を肯定する気持ちと他人に配慮しないことは違うものです。
自己肯定感は自分を大切にする気持ちで、他人に配慮しないのとイコールではありません。
自己中心的は自分のことしか考えずに他人への配慮が欠けていることです。
「自分のことを大切にできるから他人も大切にできる」とよく言われていますよね。
本当に心が満たされていれば、人に与えることができるからです。
自己肯定感が高い人は心が満たされていますが、自己中心的な人は心が満たされていません。
「自分のことを大切にする気持ち」と「自分のことしか考えないこと」を区別しましょう。
自己肯定感に対する8つの誤解まとめ
「自己肯定感が高すぎても問題」という表現をする人は他の言葉と混同して解釈しています。
自己肯定感と混同しやすい言葉としっかりと区別しましょう。
- 自己肯定感はポジティブなこともネガティブなことも含めて自分を受け入れることで、ポジティブ思考はポジティブに考えること
- 自己肯定感はできないことがあっても自分を受け入れたうえで向上心を持つことで、自己満足は「もうこれ以上は学ばなくていい」と考えること
- 自己肯定感はできないことをできないと認めることで、自信過剰はできないことをできると思い込むこと
- 自己肯定感はありのままの自分を認めることができることだから他者にアピールしないが、ナルシストはありのままの自分を認められないからカッコイイと思われるために行動する
- 自己肯定感が高い人は自己充電によって満たされる感覚を得ることができるが、承認欲求が強い人は他人に満たされることに慣れすぎてしまっている
- 自己肯定感が高い人は間違いを認めても自分の価値が下がることはないと考えられるが、正当化する人は自分の存在価値が脅かされると考えて間違いを認められない
- 自己肯定感は自分のことを尊重できる気持ちで、日本語的なプライドはネガティブなニュアンスで使われることが多い言葉
- 自己肯定感が高い人は満たされているから他人に配慮することができるが、自己中心的な人は満たされていないから自分のことしか考えられない
あなたは自己肯定感とナルシストや自己中心的などの言葉との違いは理解できたはずです。
自己肯定感の必要性も感じてもらえたと思います。
- 自己肯定感とか自己効力感とか似たような言葉あるけど、それらとの区別がわからない
- 自己肯定感の必要性はわかったから、どうやって高めるのかを知りたい
もし、あなたがこう考えたのなら、「自己肯定感を高める7つの考え方」という記事を読んでほしいと思います。
この記事は自己肯定感に関する完全ガイドで、自分に自信を持つための全体像が理解できます。
ぜひチェックしてくださいね。