「自己肯定感は上げなくていい」といった否定的な意見もありますが、自己肯定感は絶対に必要です。
なぜなら、自己肯定感が高くなると出来事や他人の言動によってストレスをためることが激減するからです。
- 周りはできるのに自分だけできないことがあって、自分は無能なのかと思うことがある
- 職場にマウントをとる人がいて、いちいちバカにした言い方をする
- 言い返さないほうがいいと思うけど、我慢できなくなることがある
ちなみに僕は上記のような悩みをすべて経験していますが、自己肯定感を高めることによって気にならなくなりました。
「自己肯定感が低いわけではないけれど、見下す言い方をされたらムカつく」
こういう状態の人はさらに上の自信があると考えてください。
人から言われた言葉に反応してネガティブな感情になるのは悪い影響を受けているからです。
失敗体験を乗り越えることや他人から攻撃されても傷つかないためには、出来事や他人の言動に影響を受けにくい自信が必要です。
- 自己肯定感を含めた自信の3タイプ
- 自己肯定感を回復させる3つの考え方
- 自己肯定感を高める4つの考え方
この記事では自己肯定感とは何かを解説して、その後に自己肯定感を高める考え方を合計で7つ解説します。
自己肯定感を高めることによって、
- 人と比べて自分が劣っていても自分は無能だと考えなくなる
- 見下す言い方をされてもイライラしなくなる
- 攻撃する人がいても言い返さずに我慢もせずに穏やかな気持ちで過ごせる
こういったことが可能になります。
自己肯定感を含めた自信の3タイプ
自信には「できる」「愛される」「存在」の3つがあります。
自己肯定感とは存在の自信で、ありのままの自分を受け入れる感覚です。
自分に自信が持てるようになりたいと思ったら、この3つの自信をバランスよく満たす必要があります。
そして、この3つの自信は影響をお互いに与える関係です。
失敗したときに「できる」の自信が低下しても、存在の自信である自己肯定感が土台としてしっかりしていれば心が折れません。
誰かに傷つくことを言われて「愛される」の自信が低下しても、存在の自信である自己肯定感が高ければ心の回復も早いです。
ところで、ありのままの自分とは何だと思いますか?
よく使われる表現ですが、意外とイメージできないのではないでしょうか。
ありのままの自分に関しては、
- 今の自分にどれぐらい満足しているか?
- 今の自分にどれぐらい納得しているか?
この2つの視点を持ってください
自分に対する満足度ばかりに意識が向くと、満たされている感覚を持ちにくいです。
ですから「何をすることによって今よりもっと満足度が上がるのか?」に加えて、「今の自分をどう捉えれば納得度が上がるのか?」も考えましょう。
満足度と納得度を上げるためには、自己肯定感を含むいくつかの自信の種類を知っておくといいです。
中島輝さんの「自己肯定感の教科書」という本では、自己肯定感の仲間の自信が詳しく解説されているのでオススメです。
中島輝さんの著書自己肯定感の教科書では自己肯定感は6つの「感」で支えられていると解説されています。
「自己肯定感の教科書」で解説されている6つの「感」
- 自尊感情
- 自己受容感
- 自己効力感
- 自己信頼感
- 自己決定感
- 自己有用感
【参考書籍】中島輝さんの「自己肯定感の教科書」
「自己肯定感とか自己効力感とか自己受容感とかいろんな言葉があってわかりにくい」という意見もあると思います。
ただある程度は言葉の意味を知っておくことは必要です。
たとえば「果物がほしい」とだけ考えると、食べたいものが手に入りません。
自分が食べたい果物はリンゴなのか?イチゴなのか?それともパイナップルなのか?
具体的に考えないと、食べたいものを手に入れることはできないですよね。
「リンゴが欲しい」と思うからリンゴをスーパーで買えるわけです。
でも、そのリンゴが青森県産なのか?それとも長野県産なのか?
こういう部分まで細かく考えなくてもリンゴを食べることができますよね。
僕らは学者ではないから細かい定義についてあれこれと考える必要はないです。
それよりも満たしたい自信を体感することが重要だと僕は考えています。
でも、ただ自信がほしいと考えている状態ではなく、具体性があるほうが望ましいです。
スポーツをやりたいではなく、サッカーがやりたいと考える。
楽器を弾きたいではなく、ギターを弾きたいと考える。
このように得たいものを具体的に考えましょう。
今の自分が満たされない感覚は何かを特定するためには、名前と意味を知っておく必要があります。
そして、もう1つ考えておくべきことがあります。
それは努力の方向性です。
自分に自信が持てるようになりたい思ったときに努力の方向性には2つあると考えてください。
2つの方向性とは自己成長か他者貢献です。
この2つの方向性のうち今の自分にとってどちらが大事かを考えましょう。
できると思える自信が必要なら自己成長を追求してください。
愛されていると思える自信が必要なら他者貢献を追求してください。
そして、ありのままの自分を受け入れながら2つの方向性の努力をしましょう。
つまり、存在の自信を満たしながら、「できる」の自信もしくは「愛される」の自信を満たしていくということです。
ここでは「ありのままの自分とは何か?」も含めて、「できる」と「愛される」の自信を解説します。
- できると思える自信
- 愛されていると思える自信
- ありのままの自分を認める自信
できると思える自信
自己成長と他者貢献の2つの方向性の話をしましたが、ここでは自己成長に関係する「できる」の自信について解説します。
「できる」の自信は自己有能感と自己効力感という自信があります。
- 自分には能力があると思える自信
- 過去の実績や成功体験から生まれる自信
- 過去から現在の行動や結果を見て価値を感じる自信
- これまでの自分に価値を感じる自信
- やればできると思える自信
- これからやることに対して成果を出せると信じる自信
- 現在の行動を見ることや未来の可能性を感じて得られる自信
- これからの自分の可能性を感じる自信
「できる」や「得意」が自己有能感で「できそう」と「やればできる」が自己効力感だと考えてください。
「自分には能力がある」と思えれば、見下す人の発言を聞き流すことができますよね。
心の底から「やればできる」と思えれば、「お前には無理だよ」と言われても傷つかないはずです。
この2つの自信が満たされていれば、「そんなこともできないの?」と言われても「使えないヤツだな」と言われても傷つきません。
能力を上げることは今すぐにできないと思うので、自己有能感に関しては回復させることを考えてください。
自己有能感を回復させるには今できていることを確認しましょう。
1ヶ月前よりも何が良くなっているでしょうか?
自己効力感を持ちたいと思ったら、「できるようになるために何が必要か?」を考えましょう。
これから先の自分はこれまでの自分と同じとは限りません。
今の時点で英語を話せない人が「1週間後に英語でプレゼンをしてほしい」と言われたら、「無理です」と思いますよね。
この状態は自己効力感が低い状態です。
では、5年の時間が与えられたらどうでしょうか?
少なくても今より英語が上達できているはずです。
今の状態だけでなく長期的な視点も自己効力感には必要です。
愛されていると思える自信
努力の方向性として自己成長と他者貢献の2つをお伝えしましたが、ここでは他者貢献に関わる「愛される」の自信について解説します。
「愛される」の自信は他者との関係で生まれる自信です。
ここで言う「愛される」を広い意味で捉えてほしいのですが、「喜んでくれているな」と感じることも含めて「愛される」と考えてください。
助ける喜びや助けられたときの感謝も含めて「愛される」と考えましょう。
- 自分は重要な存在だと感じられる自信
- 大切にされていると感じる自信
- 人に貢献できていると思える自信
- 役に立てていると思える自信
- 必要とされていると思える自信
- 人に好かれていると思える自信
- 喜んでもらえたと感じる自信
この3つの自信は明確に境界線を引くことが難しい自信で、関連性が高い自信だと言えます。
「大切にされている」と「必要とされている」と「喜んでもらえた」と感じるのは、かなり近い感覚ですよね。
では、「愛される」の自信は人間関係の悩みにどういう影響があるでしょうか?
たとえば、自分のことを攻撃するAさんという人物がいたとしましょう。
自分のことを攻撃する人がいれば、自己重要感も自己有用感も自己好感も下がります。
でも、自分に優しくしてくれるBさんという人物がいたらどうでしょうか?
1人でも自分に優しくしてくれる人がいたら心の支えになるはずです。
ですから、自分に敵意を向けるAさんではなく、大切にしてくれるBにフォーカスすることによって気持ちがラクになります。
「愛される」の自信を満たしたいと思ったら、その人のために何ができるかを考えましょう。
愛されていると思える自信を持つうえでオススメなのが永谷研一さんの「できたことノート」という書籍です。
「できたことノート」には物事を捉える視点としてHappyメガネ、Numberメガネ、Personメガネという3つの視点が解説されています。
この書籍の中の「Personメガネ」という視点が「愛される」の自信を満たすのに有効です。
Personメガネは相手の反応の中に自分のできたことを見つける視点で、さらに「感謝」「表情」「行動」の3つの捉え方があります。
感謝されてことに注目する視点
- 共有の場所を片付けたら感謝された
- 宴会の幹事を引き受けたら喜ばれたetc
相手が笑ってくれたことなど表情に注目する視点
- 他愛のない話で相手が笑ってくれた
- 書類を渡した相手がニッコリ笑ってくれたetc
相手のポジティブなリアクションに注目する視点
- スピーチのあとにたくさんの拍手をもらった
- 仕事の相談に乗ってあげたらお礼にとお菓子をもらったetc
「できたことノート」の著者である永谷研一さんは
- できなかったことも見る必要はあるけれど、まずはできたことを見ることが大切
- まずできたことを見つけて自己肯定感を高める
- その後にできなかったことや改善点、もっと良くならないかを考える
- 先にできなかったことを見るから心が折れる
こういう考えを持っている方です。
【参考書籍】永谷研一さんの「できたことノート」
自己肯定感に対してネガティブな考えを持っている人の多くは「自分を甘やかすことになるのでは?」と考えています。
ですが、自己肯定感は「できないことを放置していい」と考えるための自信ではありません。
むしろ成長するためにはポジティブな側面を見る必要があります。
ダメな部分ばかり見るとやる気が下がりませんか?
プラスの面を見てから改善点を見たほうがやる気が持続するはずです。
プラスの側面を見るべきなのは人間関係でも同じことです。
自分のことを嫌っている人にフォーカスするのではなく、まずは自分に優しくしてくれる人にフォーカスしましょう。
うまくいっていない相手がいるなら、その人との関係の改善はとりあえず後回しで大丈夫です。
ありのままの自分を受け入れる自信
「ありのままの自分を受け入れる」とは、どんな結果になっても他人がどんな評価しても変わらない自分の魅力を評価することだと考えてください。
「できる」と「愛される」は外的要素に左右される部分があります。
ですが、存在の自信は外的要素に左右されない自信の土台です。
外的要素に左右されない自信には自尊心、自己受容感、自己信頼感、自己決定感の4つがあります。
いろんな意見があって誰が正しいというものはありませんが、外的要素に左右されない自信が自己肯定感の要素だと僕は考えています。
- 自分の人格を大切にする気持ち
- 自分には価値があると思える自信
- ポジティブなこともネガティブなことも含めて、そのままの自分を受け入れる気持ち
- 得意なことも苦手なことも含めて「自分は自分でいい」と思える気持ち
※成長しなくていいと考えることではありません
- 自分なら大丈夫だと自分を信じる気持ち
- 自分ならこれから先に何があっても大丈夫だろうと自分を信じる気持ち
- 自分で決断したと思える気持ち
- 自分の選択だと思える気持ち
この4つの自信には以下のようなメリットがあります。
- 自尊心が満たされると否定されても傷つきにくくなる
- 自己受容感が満たされると失敗しても心が折れにくくなる
- 自己信頼感が高い人は困難に直面しても「工夫して乗り越えられるだろう」と思える
- 自己決定感を持つことができれば「やらされている」と考えずに行動できる
これらの自信が自己肯定感をつくりますが、その中でも自尊心が特に重要です。
職場の人間関係で悩んでいる人は自尊心を満たすことでストレスが少なくなると言ってもいいでしょう。
心の底から「自分には価値がある」と思えれば、見下す言い方をされてもマウントをとられても受け流すことができます。
理想は突き抜けるほどの自尊心を育てることです。
ありのままの自分とはどんな結果になっても他人がどんな評価しても変わらない自分の魅力だとお伝えしました。
それは外的要素に左右されないものですが、望んだ成果が出なかったときに失っていないものや自分に残されたものを考えるようにしてください。
たとえ失敗してもこれまで継続してきたことは事実です。
成果が出ていなくても自分の性格の長所は変わらないですよね。
スキルも資質も今ないものではなく、今あるものにも注目しましょう。
自己肯定感を回復させる3つの考え方
ここまで自己肯定感とは何かについて解説してきました。
ここからは主に自尊心にフォーカスして解説します。
自己肯定感と自尊感情と自尊心の違いは何かと疑問に思う人もいるかもしれませんが、英語だと同じ「self-esteem」です。
ですから、ほぼ同じ意味の言葉だと考えて大丈夫です。
僕らは学者ではないので、細かい言葉の定義を気にせず、「self-esteem」をどうやって満たしていくかを考えましょう。
ここからの解説は「自己肯定感=自尊感情=自尊心」だと考えていただいて大丈夫です。
そして、自尊心を満たすことには2つのアプローチがあります。
今の自分を認める自己受容と自分を成長させる自己成長の2つです。
自尊感情には基本的自尊感情と社会的自尊感情の2つの要素があります。
- 自分の存在そのものを認める自信の要素
- 他者や環境が変化しても変わらない自分の価値
- 外的要素に影響を受けないもの
- 成果や評価など相対的な価値からなる自信の要素
- 結果や他者評価で得られる自信
- 外的な要素が大きく関係する
さて、ここでは「ありのままの自分」とは何かをもう少し具体的に解説したいと思います。
ありのままの自分を受け入れることは基本的自尊感情を満たすことです。
この記事の中で「どれぐらい自分に満足しているか?」だけでなく、「どれぐらい自分に納得しているか?」も考えましょうとお伝えしました。
今の自分に対する納得度を高めることが基本的自尊感情を満たすことであり、ありのままの自分を受け入れることだと考えてください。
そして、今の自分に対する満足度を上げることが社会的自尊感情を満たすことであり、「できる」と「愛される」の2つの自信を高めることです。
基本的自尊感情が心の土台になるのですが、心の土台があれば簡単には心が折れません。
失敗体験が続いてなかなか成果を出せなくても心が折れにくくなります。
どんな悪口を言われてもどんなに攻撃をされても傷つきにくくなります。
自己肯定感の基礎を理解するうえで工藤紀子さんの著書「職場の人間関係は自己肯定感が9割」がオススメです。
この本では基本的自尊感情を絶対的自己肯定感と呼んでいて、社会的自尊感情を社会的自己肯定感と呼んでいます。
非常にわかりやすく解説されているので、ぜひチェックしてみてください。
【参考書籍】工藤紀子さんの著書「職場の人間関係は自己肯定感が9割」
ありのままの自分とは外的要素が変化しても変わらない自分の魅力や特性ですが、ここでは外的要素に左右されないものとは具体的に何かを解説します。
①できたことに目を向ける
②誰から好かれているかを考える
③性格の強みを考える
自己肯定感高める考え方を全部で7つ解説しますが、まずは3つ解説します。
この3つは自分に対する納得度を上げるための考え方です。
①できたことに目を向ける
今できている部分に目を向けると納得度は上がります。
満足度を上げるには今より成長する必要がありますが、まずは納得感を得ることが大切です。
もちろん向上心を持たなくていいということではなく、今ないものを求めることと今あるものを評価することの両方が大事だということです。
今の自分が持っているものを評価するうえで人と比較してはいけません。
たとえば、テストで90点とっても100点の人がいたらナンバーワンではないですよね。
でも90点とったことは事実です。
誰かと比べて勝ったか負けたかではなく、できたことを素直に評価しましょう。
「100点の人と比べて負けても結果が90点なら納得できるけど、結果が30点なら、どうすればいいか?」と悩むこともあるでしょう。
結果に対する満足度が低いときは「そもそも良いとか悪いはない」と考えてください。
90点は良い点数ではなく、30点は悪い点数ではありません。
90点も30点も良い点数でもなく悪い点数でもないのです。
90点に「うれしい」という感想はあってもいいですが、良いとか悪いはありません。
30点に「悔しい」と思ってもいいですが、良いとか悪いはありません。
大事なのは「これから自分はどうしたいのか?」を考えることです。
できるようになりたいと考えるのもOKですし、できなくてもいいと考えるのもOKです。
何を高めて何が苦手でもいいとするかを自分で決めましょう。
「苦手なことがあってもいい」と考えられることが本当の自己肯定感であり自己受容です。
では、30点という結果を改善したいと考える場合はどうでしょうか?
「30点という結果に対して悔しいと感じている自分がいるけれどそれも自分だ」と考えられることが本当の自己肯定感です。
30点という結果を喜ぶことが自己肯定感ではありません。
ちなみに30点という結果を喜ぶのはポジティブ思考です。
自分に対する満足度を上げたければ今より成長することが必要なので、
- 30点という結果を0点から見てプラス30点という見方をする
- これからどうすべきかを考える
この2つの考え方が必要です。
納得のいかない結果に対しては、できている部分にフォーカスして「これからどうしたいのか?」を考えましょう。
②誰から好かれているかを考える
今あなたが人間関係で悩んでいるなら、誰から好かれているのかを考えましょう。
自分に優しくしてくれる人の存在を意識することによって自尊心も満たされます。
あなたのことが大嫌いなAさんという人物とあなたのことが好きなBさんという人物がいたとしましょう。
たとえAさんから嫌われていてもBさんが自分のことを好きでいてくれることには変わりません。
すごく人気者のCさんという人物がいても、あなたに対するBさんの好感度が下がることはないはずです。
- 人気者のCさんの好感度が80%のときは自分の好感度が60%になる
- 人気者のCさんの好感度が100%で、自分の好感度は40%にはなる
こういうことはあり得ないですよね。
貢献できていると思える感覚のことを自己有用感と呼ぶとお伝えしました。
「貢献」という言葉を聞くと、何かをすることで貢献感が得られると考えがちですよね。
でも、この「貢献」という言葉を広く捉えてみましょう。
「貢献」という言葉を広く捉えるためには、「なぜ人はペットを飼うのか?」を考えるとわかりやすいです。
これに加えて「結婚して子供ができた夫婦はなぜ子供が生まれたときに喜ぶのか?」を考えてもわかりやすいと思います。
犬もネコも具体的に行為としての貢献はしていないですよね。
生まれたばかりの赤ちゃんは大人の手伝いをしないですよね。
では、ペットを飼う意味はないのでしょうか?
赤ちゃんの存在価値はないのでしょうか?
もし、ペットを飼う意味がないと人が考えるのであれば、犬もネコも飼わないはずです。
もし、赤ちゃんに存在価値がないのなら、子供が生まれても両親は喜ばないですよね。
貢献とは必ずしも具体的な行為とは限らないのです。
存在価値には2つあって、行動としての価値と感情の価値があります。
犬やネコを見ると、あなたはどんな感情になるでしょうか?
癒される感覚を持つと思います。
子供を見ても同じような感情になりますよね。
人に何かをすることが行動の価値です。
行動にはもちろん価値がありますが、感情の価値も意識しましょう。
感情の価値とは「一緒にいて落ちつく」とか「この人がいると楽しい気分になる」といったことです。
「自分と一緒にいる相手がどんな感情になるのか?」というのも立派な価値だと思いませんか?
③性格の強みを考える
外的な要素に左右されない価値の代表的なものが性格の強みです。
自分がどんな性質を持っているのかを考えて、その性質に愛着が持てれば自尊心が満たされます。
自分と同じような強みを持つ人はいますが、すべての性質が同じになることはありません。
たとえば「優しい」というのは長所の1つですが、優しい人はたくさんいますよね。
では、「優しい」「好奇心が旺盛」「社交的」「忍耐力がある」「創造的」という性質を持った人がいたら同じ人物はいるでしょうか?
この組み合わせが同じになる人はなかなかいないですよね。
いくつもの性質が組み合わさって自分という人間を形成しています。
人の持つ性質は「~さ」「~性」「~的」「~心」「~力」といった言葉に置き換えることが多いです。
優しさ、楽観性、社交的、好奇心といった要素は人の性質を表す言葉ですよね。
ゼロから自分の資質を考えるのは難しいので、ヒントとして自分の性質を知る診断テストを受けるのがオススメです。
診断テストには2つのタイプがあって、特性論と類型論があります。
特性論は「あなたはこの要素を持っていますよ」という結果がわかるテストです。
類型論は「あなたはタイプAです」という結果がわかるテストです。
オススメは特性論で、ストレングス・ファインダーとVIA-ISの2つのうちどちらかを受けるのがいいと思います。
※ストレングス・ファインダーは有料でVIAは無料です。
僕はストレングス・ファインダーを受けて最上志向、学習欲、未来志向、着想、内省という結果になりました。
個人的に学習欲と内省という資質に特に愛着を持っています。
自分の資質を知ることは「ないもの」ではなく「あるもの」を評価することにつながります。
そして、その資質に愛着が持てるようになってください。
ないものを追い求めることも必要ですが、まずは「あるものをどう活かすか?」を考えましょう。
自分の資質に愛着を持つことが自分を好きになる感覚です。
この感覚が持てると自分に対する納得感が得られます。
もちろん自分に対する満足度を上げるには今よりも成長する必要がありますが、まずは自分に対する納得感が得られるようになりましょう。
自己肯定感を高める4つの考え方
自己肯定感を満たすには今の自分を認める自己受容と自分を成長させる自己成長という2つのアプローチがあるとお伝えしました。
ここからは自分に対する満足度を上げるための自己成長について解説します。
ここでの自己成長は自分に対する満足度を上げることだと考えてください。
自分に対する満足度を高める行動には4つの条件があります。
- 自分の心が喜ぶことであること
- 他者評価の喜びではなく、自己完結の喜びであること
- ただ楽しいだけでなく、自己成長の要素があること
- 成果や結果だけを目的とするのではなく、プロセスを評価できること
ここでは自分への満足度を上げるための考え方を4つ解説します。
④自分の心が喜ぶことをやる
⑤自己完結の行動をとる
⑥自己成長の要素があることをやる
⑦プロセスを評価する
④自分の心が喜ぶことをやる
自己肯定感を高めるには自分の心が喜ぶことをやる必要があります。
やっていて楽しいことです。
苦痛だと思うことをやっても自己肯定感が上がることはありません。
楽しくないことをやればやるほど自己肯定感は下がります。
「これをやっているときは楽しいな」と思えることは何かを考えましょう。
この考え方を人間関係に当てはめると、「やってあげたいな」と思えることです。
たとえ相手が喜んでも自分がやりたくないことはやらないでくださいね。
自分も相手も喜ぶことは他者貢献であり奉仕の精神です。それに対して本当はやりたくないことをやるのが自己犠牲です。
⑤自己完結の行動をとる
自己を肯定する感覚が自己肯定感です。
ですから、他者評価の喜びと区別する必要があります。
自己肯定感を高めるためには自己完結の行動をとる必要があるわけです。
ほめられる喜びは自己肯定感ではなく、承認欲求が満たされる感覚です。
もちろん、承認欲求のすべてがダメということはなく、ほめられたら素直に喜びましょう。
ですが、人から評価されることばかりで心を満たすことに慣れすぎると、ほめてくれる人がいなくなったら自信がなくなります。
承認欲求を満たすことは誰かにエネルギーをチャージしてもらうことです。
自己肯定感を高める行動は自分で自分の心にエネルギーをチャージすることです。
ですから、自分の心が喜ぶことで自己完結の行動を考えましょう。
「自己完結の行動」と聞くと「他者貢献は自己肯定感を高めないのか?」という疑問を持つと思います。
これに関しては「他者貢献の喜び」と「他者評価の喜び」を分けて考えてください。
他者貢献は人に与える喜びで、他者評価はほめられる喜びです。
「人に与えたい」と「ほめられたい」の違いだと言ってもいいでしょう。
能動的な喜びか受動的な喜びと言ってもいいです。
感謝されることや評価されることは自己完結ではなく相手次第ですが、人に貢献する行動を自分が肯定的に評価することは自分次第です。
⑥自己成長の要素があることをやる
やっていて楽しくて自己完結の行動でも、ただ楽しいだけでは自己肯定感が高まるのは難しいです。
たとえば「ゲームをしていて楽しい」というのは自己肯定感を高めるものではないでしょう。
ゲームを含めてエンタメの楽しさで自分に価値を感じることは難しいですよね。
ですが、プロゲーマーにとっては事情が変わります。
ゲームをプレーするレベルが上がると観客は感動しますよね。
プロゲーマーにとってはゲームのレベルを上げることは、自己成長でもあり他者貢献になります。
ただの娯楽としてゲームを楽しむのであれば、そこに自己成長や他者貢献はないです。
ですから自分の心が喜ぶことで自己完結の行動という要素に加えて、自己成長の要素がある行動は何かを考えましょう。
自己成長の喜びを考えるうえで、2つのギリシア語を紹介したいと思います。
ヘドニアとユーダイモニアの2つの言葉を知っておきましょう。
ヘドニアは快楽と言う意味で、ちょっとした息抜きのようなイメージです。
ユーダイモニアは意義のあることに取り組んで得られる喜びという意味です。
一生懸命になって打ち込む何かがユーダイモニアだと考えてください。
- ヘドニア:旅行、ショッピング、映画鑑賞、カラオケなど
- ユーダイモニア:仕事、資格や語学の勉強、筋トレ、副業、音楽活動、芸術など
人生にはヘドニアの喜びも必要で、ヘドニアとユーダイモニアのバランスを考えたライフスタイルが理想です。
自分を磨くための行動がユーダイモニアですが、自分を高める目的の活動は緊急性がないものが多いですよね。
緊急で重要なことを第一領域と呼び、緊急ではないけれど重要なものを第二領域と呼びます。
第二領域の活動をしなくても生活は困らないから後回しになりがちです。
自分に自信が持てるようになりたいと思ったら、まず自分を磨く活動の時間を確保することを考えましょう。
⑦プロセスを評価する
自分の満足度が高まる行動は
- 自分の心が喜ぶこと
- 自己完結の行動であること
- 自己成長や他者貢献の要素があること
この3つの条件を満たすものです。
自己成長や他者貢献は何かに挑戦することだと考えても大丈夫です。
新しいことに挑戦することは自己肯定感を高めるうえでプラスになります。
ところが、こういう悩みを持つ人も少なくありません。
- 自分が無能な感じがして常に資格を取ったりして補おうとしてしまう
- 「これじゃ足りない」とか「自分はまだまだ」と常に感じて終わりのない気がしている
- 望んだ結果が得られずに自信が持てない
自分に自信を持ちたくて始めたことなのに逆に自信を失うという悩みに陥る人がいますよね。
何をやっても満たされない感覚があって、自分に価値を感じられない人も少なくありません。
満たされない感覚があるなら、それをやることを楽しめているかを考えましょう。
つまり、プロセスを評価することが大切なのです。
もちろん、目標を達成できなくていいということではなく、その活動そのものを楽しむことも必要だということです。
成果や結果だけを目的とすると心は疲れます。
他人からの評価を目的としてやることは本当に自分がやりたいことではないかもしれません。
満たされない感覚があるなら、
- 結果だけを目的としていないか?
- 他人に評価されることを目的としていないか?
- そもそも楽しめているか?
こういったことを自分に質問してみてください。
その活動そのものを楽しむためには、プロセスの中で得られる喜びを大切にしましょう。
「どんな気づきや発見があったか?」を考えると成長を感じられるはずです。
この記事の中でヘドニアとユーダイモニアという2つのギリシア語を紹介したが、ここでも2つのギリシア語を紹介したいと思います。
その2つはキーネーシスとエネルゲイアです。
達成を目的としたスタンスがキーネーシスで、プロセスそのものに価値を感じるスタンスがエネルゲイアです。
達成の喜びと充実の喜びという言葉に置き換えてもいいでしょう。
目標は達成したほうがいいですが、エネルゲイア的な生き方をしたほうが自己肯定感は高まります。
キーネーシスとエネルゲイアの話はよく山登りに例えて語られるのですが、山の頂上にたどり着くことを目的とすることがキーネーシスです。
登山そのものに喜びを感じることがエネルゲイアです。
この考え方を他のことに当てはめて考えてみましょう。
資格の勉強であれば資格の取得だけでなく、その勉強をすることを喜びだと考えることがエネルゲイアです。
英語の勉強であればTOIECのスコアを上げることだけでなく、英語の勉強そのものを楽しむことがエネルゲイアです。
山の頂上にはキレイな景色が見えると思います。
ですが、3合目には3合目の美しさがあるはずです。
5合目に咲いている花は頂上では見られないかもしれないですよね。
プロセスに価値を感じるために今日の気づきや感じたことを大切にしましょう。
でも「やっていることに満足していたら成長しなくなるのでは?」という意見もあると思います。
もちろんエネルゲイア的な生き方は目標を達成しなくていいという考え方ではありません。
結果を出すための努力は必要です。
でも、楽しめない人は評価を気にしすぎている可能性が高いです。
楽しめない人や満たされない感覚がある人は「できる人だと思われたい」と考えていることが少なくありません。
自分で自分の成長を感じられないと、他人からの評価で補おうとしてしまうわけです。
結果が出なくてモヤモヤする気持ちも他者評価を求めていると言えます。
「目標を達成したら誰かがほめてくれるかもしれない」と期待している人もいるのではないでしょうか。
楽しめる人は「できるようになりたい」と考えています。
「できるようになりたい」と「できる人だと思われたい」を分けて考えましょう。
「成果が出なくてもOKで、成果が出たらもっとOK」「評価されなくてもOKで、評価されたらもっとOK」だと考えてください。
さて、「結果だけでなくプロセスに価値を感じる」という考え方を人間関係にも当てはめて考えてみましょう。
「できるようになりたい」と「できる人だと思われたい」が違うのと同じように「人に優しくしたい」と「いい人だと思われたい」も違います。
成果や結果だけを目的とすると辛くなるのと同じで、評価や感謝を求めすぎると自分が辛くなります。
感謝されることはいいことですが、他者貢献の行動そのものを楽しむことも必要です。
だからこそ、自己犠牲の精神で行動するのではなく、「やってあげたいな」と思えることをやりましょう。
「感謝されなくてもOKで、感謝されたらもっとOK」だと考えてください。
- 自分の心が喜ぶことの中の自己完結のもので、かつ自己成長や他者貢献の要素がある行動
- 成果や結果だけを目的とせずプロセスの中に価値を見つける
- 評価や感謝だけを目的とせず他者貢献の行動そのものに価値を感じる
自己肯定感を高める方法まとめ
冒頭でもお伝えしたように「自己肯定感が低いわけではないけれど、見下す言い方をされたらムカつく」と思うのであれば、さらに上の自信があると考えてください。
自己肯定感を満たすことができれば、見下されてもマウントをとられても言い返さずに我慢もせずに穏やかな気持ちで過ごすことが可能になります。
- 自信にはできる、愛される、存在の自信の3つがある
- 自分に対する満足度だけでなく納得感も考える
- 努力の方向性には自己成長と他者貢献の2つがある
- できると思える自信には自己有能感と自己効力感がある
- 愛されていると思える自信は人間関係の中で生まれるもので、自己重要感、自己有用感、自己好感がある
- 存在の自信はありのままの自分を認める感覚で、自尊心、自己受容感、自己信頼感、自己決定感がある
- 存在の自信が自己肯定感であり、自信の土台をつくる
- 自己肯定感を満たすアプローチは今の自分を受け入れる自己受容と自分への満足度を上げる自己成長の2つがある
- 「ありのままの自分を受け入れる」とはどんな結果になっても他人がどんな評価をしても変わらない自分の魅力を見つけること
- ありのままの自分の魅力とは外的要素に左右されないもの
- 今の自分を受け入れるためには今できていることに目を向ける
- 自分の存在価値を感じるためには行為での貢献だけでなく「一緒にいて落ちつく」などの感情的な価値も意識する
- 外的な要素に左右されない価値の代表的なものが性格の強みで、「~さ」「~性」「~的」「~心」といった言葉に置き換えられることが多い
- やっていて苦痛になることではなく、自分の心が喜ぶことをやる
- 他者評価の喜びではなく、自己完結の喜びであること
- ただ楽しいだけでなく、自己成長や他者貢献の要素があること
- 「人に与えたい」という他者貢献の喜びと「人にほめられたい」という他者評価の喜びを分けて考える
- 成果や結果だけを目的とするのではなく、プロセスそのものを肯定的に評価する
- 評価や感謝だけを目的とするのではなく、他者貢献の行動そのものを肯定的に評価する
さて、実際に自己肯定感を高めてもらうためにいくつか宿題を出したいと思います。
もちろん一度にすべてではなく、可能なものからで大丈夫です。
- 今できていることを肯定的に評価する
- 行動の価値だけでなく感情の価値も意識する
- ストレングス・ファインダーもしくはVIA-ISのどちらかを受ける
- 成果や結果だけを目的とするのではなく、プロセスそのものを肯定的に評価する
- 評価や感謝だけを目的とするのではなく、他者貢献の行動そのものを肯定的に評価する
- Q自己成長と他者貢献のどちらの方向性で自尊心を満たしていきたいですか?
- Q今のあなたにとってヘドニアの喜びは1週間に何時間ぐらい必要だと思いますか?またユーダイモニアの喜びは1週間に何時間ぐらい必要だと思いますか?
- Q自分の長所や強みを、「~さ」「~性」「~的」「~心」「~力」といった言葉に置き換えるとどんな言葉になりますか?
- Q①自分の心が喜ぶこと、②自己完結のもの、③自己成長や他者貢献の要素があること、この3つの条件を満たす行動や活動は何ですか?
自己肯定感を高めることに加えて、
- 心を整えるスキル
- 境界線を引く意識
この2つを学ぶと攻撃的な人がいても少ないストレスで過ごせるようになります。
攻撃的な人の対処法は心を整えて自尊心を満たして境界線を引くことです。
【スルースキル習得の完全ガイド】受け流すために必要な3つの要素とは?という記事で3つのスキルを解説しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。